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新潟家庭裁判所 平成12年(少)263号・平12年(少)366号

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

(非行事実)

少年は、法定の除外事由がないのに、平成12年2月20日午前6時ころ、新潟市○○×××番地×○△×号B方において、麻薬であるN・α-ジメチル-3・4-(メチレンジオキシ)フエネチルアミン(別名MDMA)を含有する錠剤若干量を嚥下し、もって、麻薬を施用した。

(法令の適用)

麻薬及び向精神薬取締法27条1項、同法66条の2第1項

(事実認定の補足説明)

平成12年(少)第366号暴行幇助保護事件は、検察官によりAを正犯とする暴行罪の幇助により送致されたものであるところ、本件記録によると、少年が、本件当時、AがCに暴行を加えたフアミリーレストランにいたこと、AがCをトイレに連れていって同人に暴行を加えたことを少年が認識していたこと、暴行による音を聞いてトイレに向かおうとしていたレストランの店員に対し、少年が「友達だから大丈夫だ。」と言ったことを認めることができる。しかし、本件記録からは、少年が店員にそのように言った時点以後で、AがCに対して暴行を加えたことを認めるに足りる証拠はないから、少年の右行為がAのCに対する暴行を容易にしたということはできず、少年の右行為は暴行の幇助とならないというべきである。また、Aと少年との間で事前に、少年が本件暴行の見張りをしたり、店員をトイレに近づけないようにすることについて黙示的にも合意があったことを認めるに足りる証拠はない。

以上によれば、平成12年(少)第366号事件における少年の行為については、非行事実を認定することができず、暴行罪の幇助は成立しない。

(処遇の理由)

一  平成12年(少)第263号事件の記録並びに当審判廷における少年及び少年の父の供述によると、次の各事実を認めることができる。

1  少年の生活史等

(一) 少年は、昭和55年11月2日、父T・O及び母T・K子の長男として出生したが、両親とも生花関係の会社勤めをしていたため、少年は生後2か月から乳児園に預けられ、引き続き○□保育園に通園した。生来の右耳難聴の他、アトピー性皮膚炎の持病があったが、集団生活を送る上での支障とはならなかった。

(二) 少年は、平成5年3月、新潟市立△△小学校を卒業し、同年4月、新潟市立△□中学校に入学した。欠席は少なかったものの、学業成績は芳しくなかった。少年は、小学校時代に引き続き、中学校でもサッカー部での活動をし、部活動が中心の生活であったが、3年生の途中で部を引退した後は、暇を持て余して夜間外出や喫煙などの問題行動が見られるようになった。

(三) 少年は、平成8年4月、自宅から近いこともあり、私立□□高等学校に入学した。高校でもサッカー部に入部したが、監督との折り合いが悪く、間もなく退部した。サーフインやバイクへの関心が高まるにつれ、少年の学業に対する意欲は次第に低下していった。少年は小遣いを稼ぐために父の経営する生花店を手伝ったり、引越業者のアルバイトをした。引越業者のアルバイトで後述のAと知り合うことになるが、知り合ったころは、顔見知りという程度で、一緒に遊び行くことはなかった。

(四) 少年は、平成9年9月、学業に対する意欲の低下等の理由で高校を中退後、普通二輪免許を取得し、サーフショップに就職した。サーフショップでは5か月程度働いたが、店主が少年の勤務態度不良を理由として減給したり、暴力を振るったため、少年は退職した。平成10年3月以降は、忙しいときに親の店の手伝いをする程度で、定職には就かず、小遣いが必要になるとパチンコで稼いでいた。

(五) 少年は、平成9年の夏ころ、アルバイト先の引越業者で、暴力団□△組組員であるA(21歳)と知り合った。少年がバイクを乗り回しているうちに顔をAに覚えられ、Aの方から声を掛けてくるようになった。平成11年の秋以降は、一緒に海に行ったり、食事をする付き合いをするようになった。少年は、B(21歳)とも引越業者の仕事で知り合い、平成11年11月ころから本件の非行現場であるBのアパートに出入りするようになった。

(六) 少年は、平成12年1月ころ、Aから錠剤をもらい、何らかの違法薬物であることを認識しつつ服用したものの、少年が期待したほどの効果は得られなかった。また、少年は同じころ、新潟市□○町で、覚せい剤の売人から覚せい剤の結晶を受け取り、違法薬物であることを認識しつつ、好奇心から右覚せい剤をスプーンであぶって吸入した。

少年は、この頃からAと一緒に行動することも多くなり、Aが通行人との間で暴力沙汰を起こした際に一緒にいたり、少年が、A及びBの3人で行動しているときに、AがCに暴行を加えたことがあった(本件に併合された平成12年(少)第366号事件参照)。

2  本件非行の動機及び態様等

本件非行当日、少年は、前日からA、B及び少年の中学時代の先輩であるD(21歳)との4人で一緒に過ごしていたが、△○浜でナンパをして女性5人と一緒になり、9人でBのアパートに向かった。右アパートでは、缶ビールを飲みながら話をしていたが、Aが冷蔵庫の中から麻薬を含む錠剤を取り出し、少年らに手渡した。少年は、Aから、1錠を半分にしたものを受け取り、違法薬物であることを認識しながら、服用後の効果に興味を持って、本件非行に及んだ。

本件非行は、平成12年1月28日のCに対する暴行事件の被疑者として逮捕された際に発覚した。

3  少年の性格及び行動傾向並びに保護者の監護能力

(一) 少年は、好奇心旺盛であり、目新しいものに関心を示すが、刹那的な快楽を求める傾向があり、堅実な勤労意欲は乏しい。流行の若者文化に染まりやすく、文身を入れることや違法薬物を使うことが若者文化の先鋭であると考え、右足のすねに文身を入れたり、本件非行以前にも覚せい剤を含む違法薬物を服用したことがあった。

少年は、暴力団といった反社会的集団と関係を持つことに対する危機感も薄く、自ら暴力団の構成員になっていないものの、本件非行の当時も暴力団員であるAと抵抗感を持たずに交友していた。また、違法薬物に対する規範意識に欠ける傾向がある。

(二) 少年は、当審判廷において、本件非行について反省し、今後は堅実に稼働すれば、暴力団関係者との交友もなくなり、健全な社会生活を営むことができる旨供述し、現時点において、自らの問題点については一応認識しているといえる。

(三) 少年の両親は、一定の監護能力を有するものの、両親ともに従来仕事中心の生活であり、夜遊びや外泊をしても注意しないなど、少年の生活を十分に監督せず、放任する傾向にあった。父は、当審判廷において、少年と接する時間をこれまでより長くしたい旨供述するものの、具体的な指導、監督方針については明確なものを持っておらず、両親による強い監護は期待することができない。

二  少年の処遇についての判断

以上のとおり、少年は、現時点において、自らの問題点を認識し、これを改善する意欲を一応有しているといえるが、これまでの少年の生活態度、特に、平成10年3月以降堅実な稼働をせずに、その後、暴力団関係者との交友を持ち、違法薬物の使用に手を染めるようになったことに鑑みると、少年は、自らの将来について現実的な生活設計を有しておらず、今後も暴力団や違法薬物に対する親和性を高めていく危険性があるといわざるを得ない。そうすると、少年を現時点において、中等少年院に送致し、暴力団関係者との交友関係を断たせ、健全な生活リズムの回復及び定着を図り、職業訓練を行い、具体的な将来設計を持たせることが必要であると考える。

ただし、少年には、保護処分歴がないこと、前記のとおり、現時点において、自らの問題点を改善する意欲を有していること、少年の父も少年の監督に消極的ではないことに鑑みると、上記処遇は一般短期処遇過程での集中的な矯正教育により所期の目的を達し得ると考える。

よって、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して少年を中等少年院に送致することとし、主文のとおり決定する。

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